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「朝比奈さん、未来の年金事情についt」
「禁則事項です(はぁと)」
(どうやらそういうことらしい)
「朝比奈さん、未来のサッカー日本代hy」
「き、禁則事項、なんですっ」
朝比奈さんが瞳を潤ませて言った。表情は時に言葉よりも雄弁だ。未来でも我らが日本代表は……。
どうやら未来においても日本代表の決定力のなさは深刻であるらしい。非常に嘆かわしいことだ。
「なぁ長門、日本のFWを覚醒させることはできんのか?」
「できないこともない」
「なら何とかしてやってくれないか」
このままじゃハルヒの不満は、ドライアイスを入れた炭酸ペットボトルみたいになっちまう。
「しかしお勧めはできない。FWの覚醒を促した場合、今後百年から二百年にわたって日本のFWの進化の可能性が遮断される」
それはまずいな。ワールドカップは四年に一回あるし、サッカーだけならその四年の間に何回も大会がある。その間、ずっとハルヒが不機嫌なんて考えてみろ、恐ろしいことこの上ない。そしてひそひそ話している俺と長門の視線の先には、テレビに噛り付いてサッカーを見ているハルヒがいる。
「あぁーっ、また入った! もうっ、日本代表は一体何やってるのかしら。国の代表って自覚がないんじゃないの? きっとそうね、まともなのはゴールキーパーだけだし、もーっ、あたしが出てれば勝利間違い無しなのにっ!」
「朝比奈さん、某北のk」
「禁則事項禁則事項禁則事項ですっ!?」
(な、何があった某北!)
「朝比奈さん、未来の日本の軍事についt」
「禁則事項ですっ」
(……マジで気になるんだが)
「朝比奈さん、もう一度聞きます。お歳は?」
「じゅう……あ、やだっ。禁則事項ですっ」
(……一応、十代であらせられるらしい)